小池都知事:築地市場の移転延期を表明-費用増大など疑問視 (1)

(Bloomberg) -- 東京都の小池百合子知事は31日、都庁で記者会見し、11月7日に予定されていた築地市場の豊洲への移転延期を表明した。築地市場の閉鎖とその後の解体工事も延期する。

  小池氏は会見で、延期の理由について豊洲の新市場は「都民ファーストの視点から3つの疑問点が解消されていない」と指摘した。具体的には安全性への懸念、巨額かつ不透明な費用の増大、情報公開の不足を列挙した。

  今後の対応については市場問題プロジェクトチームを設置して土壌の安全性などを確認する考えを示した。新たな移転時期については同チームによる調査の進展を待ち、「できるだけ速やかに判断する」と語った。移転中止の可能性についての質問には「プロジェクトチームの結果を待ちたい」と述べ、明言は避けた。 

  豊洲新市場の予定地はガス工場の跡地で、ベンゼンやシアン化合物などによる土壌と地下水の汚染が確認され、土の入れ替えや地下水の浄化などの対策工事が実施された。豊洲市場の建物は既に完成しているが、敷地内では地下水の汚染の有無を確認するモニタリング調査が続けられている。

  調査結果は来年1月に公表される予定で、小池知事は「モニタリング完了前に豊洲を開場しようとしている」と話し、調査完了前の移転に疑問を呈した。その後の日本外国特派員協会での記者会見でも、地下水の調査完了よりも前に豊洲に移転するこれまでのスケジュールについて「私はロジカルではないと言って移転延期の最大の理由にしている」と強調した。

  みずほ証券の石沢卓志上級研究員はブルームバーグの電話取材に対し、豊洲再開発の今後について「市場移転やオリンピック会場になることで人口が増えマンション建設ラッシュになっていたが、今後は開発時期が後ろにずれることも可能性としてある」としながらも、「街の再開発計画の取り消しなどはない」との見方を示した。

  また、インフラ整備や工事が五輪前に集中し建設コストが上昇していたことから、「移転延期の話は基本的に前向きに考えて良い。多少遅れれば、時期の集中が軽減され、その結果コスト低下につながる可能性も出てくるだろう」と語った。

東京五輪

  5884億円に上る豊洲市場の事業費に関しては、「これだけの費用がかけられていることに驚いている」と発言。「建物の建設費が急膨張している」と指摘し、人件費や資材が高騰していることを踏まえても、大幅な費用増については「精査し、説明する必要がある」と述べた。

  移転延期に伴っては、既に移転に向けて準備を進めている業者への対応が課題になる。また築地市場の跡地は2020年の東京五輪・パラリンピック選手村と都心を結ぶ環状2号線が通る予定で、移転が遅れた場合、整備計画に影響が出る可能性もある。会見の中で小池知事は、これらの点についても実際にかかる費用や工事のあり方について精査を進める方針を示した。

  東京都中央区の築地市場は1935年に開場。施設の老朽化や過密化が進み、80年代から再整備が課題となり、石原慎太郎氏が知事を務めていた2001年に江東区豊洲への移転が決まった。小池知事は就任後、移転推進派と延期を求める市場関係者の双方と面会し意見交換したほか、築地、豊洲両市場の現地視察も行っていた。

(第5段落に小池氏、第6、7段落に識者コメントを追加します.)

--取材協力: 桑子かつ代 、 下土井京子 記事についての記者への問い合わせ先: 東京 延広絵美 enobuhiro@bloomberg.net, 記事についてのエディターへの問い合わせ先: 谷合謙三 ktaniai@bloomberg.net, 広川高史, 下土井京子

MSN NEWS より引用
[ 2016/08/31 22:47 ] 建築紛争 | TB(-) | CM(-)